jabara

立体的な蛇腹折りから生まれた、小物を頬張る革の生命体

  • 概要

    JAPAN LEATHER AWARD 2023 選定作品

  • 担当

    企画、プロトタイプ制作

  • 期間

    2023.08

Jabaraは、小物を頬張る革の生命体である。折り目の付けやすい折り革に3次元的な蛇腹折りを用いることで、アルマジロやダンゴムシのような生物的な造形と、両端を握るだけで開閉ができる機能を実現した。完全に包み込んだ状態だと鱗がたち、外界に威嚇するような姿になりますが、両端をそっと握ってあげると鱗が落ち着き、外界を受け入れる穏やかな姿になる。このように何度も触れていると、次第にJabaraが自分に懐いてきたような感覚を覚えていく。
小物入れにおいて当たり前の行為である「開閉」に生物的な見た目や動きを取り入れることによって、生命体として手なづけていく新たな関わり方を提供するプロダクトである。

1.制作背景

昨年のレザークラフトに共同出展したレザー職人の谷藤 嵩さんが、レザー市場で面白いものを見つけてきてくれた。それが折り紙のように薄いレザーである。このレザーを使って、何か面白いプロダクトが作れないかという話になった。
通常のレザークラフトに使われる厚めのレザーと違い、指で折り曲げるとしっかり折り目でつくほど薄いレザーだった。そこで、この「折り目」を生かしたプロダクトを制作した。

2.立体折り紙

通常の折り紙は、折り目は直線だが、折り目を曲線にすることで立体的な形状を作り出すことができる曲線折り紙*という技法があることを知った。そこで、この技法を使って、小銭入れのようなものができるのではないかと考えた。
まず、通常の紙でいくつかプロトタイプを作り、形状を検討した。また、曲線の折り目によって、蛇腹機構のような効果が生まれ、側面を指で押すことで展開することができることも発見した。これにより、ファスナーやボタンを用いずに折り目だけで開閉機構を作れるのではないかと考えた。


3.制作

実際の革を用いた制作に移り、強度面や開閉機構の検討を行った。特に口に当たる部分のロック機構については、磁石を組み込んだ機構にすることで、片手だけで開閉することができるプロダクトへと仕上げた。





また開閉によって全体の形状がダイナミックに変化するところもポイントである。
閉じている時は、折り目が外界に対して立った状態(威嚇状態)
開いている時は、折り目が落ち着き折り畳まれた状態(降参状態)

といった具合に、まるで生き物のような小物入れが出来上がった。
このプロダクトはJAPAN LEATHER AWARD 2023にて選定作品に選出された。


参考:曲線折り紙デザイン: 曲線で折る7つの技法 - 三谷純2018
共同制作者:谷藤 嵩

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