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概要
JAPAN LEATHER AWARD 2022 出展作品
担当
モデル設計、造形
期間
2022
役目を終えた革端材が、大事なモノの居場所に生まれ変わる。
レザー職人である谷藤 嵩さんと話す中で、レザークラフトを行う中で生まれる革の端材を何かに使えないかという話題になった。レザー製品の角を落としたり、スナップボタンのためのポンチ穴から生まれる端材は大量に積もると単体では見出せなかった素材としての魅力があることがわかった。
主に端材は線状のものと、点状のものがあり、丸めてみると鳥の巣のような見た目になったり、触ってみると砂利を触っているような体験があった。かつて自然の中で生きた生物から採れた革が、再び自然のような記憶を持っていることに気づき、これを用いたプロダクトを作るに至った。
線状の端材から生まれる鳥の巣と、点状の端材から生まれる砂利を使って、小さな箱庭のようなものが作れないかと考えた。そこで、一本の木をモチーフにしたデスクトップオーガナイザーを制作するに至った。
まず実際に鳥たちが群生する自然公園に行き、どういった木や場所に巣を作るのかフィールドワークを行った。
子供を危険から守るために鳥たちは最初の枝分かれの部分ではなく、2,3番目の枝分かれに巣を作ることがわかった。そこで、端材たちを受け止める形態を持ちながらも、有機的な木のオブジェをスケッチした。
プロトタイプを制作し、枝の大きさや、そこに載せる端材の量などを調整して、全体的なモデルとしての佇まいを検討していった。
二つの鳥の巣と、大地からなるデスクトップオーガナイザー。鍵や指輪など、大切なものは鳥の巣に置くことで、不思議と守られているような感覚を覚える。大地には、メガネや時計など、より大きなものを置くことで木にもたれかかっているような印象を作り出す。
共同制作者:谷藤 嵩