SPATIALIZED MODULE

空間を取り込む楽器

  • 概要

    KUMA EXPERIMENT 出展作品

  • 期間

    2022.08 - 11

演奏者と視聴者の関係を壊す

1.聞いてるだけでいいのか

ライブやコンサートに行くと、圧倒的なパフォーマンスと場の熱量に包まれる。ステージで楽器を掻き鳴らすミュージシャンを見ていると、だんだん聞いてるだけの自分がもどかしくなり、そっちへ行きたくなる。こういった個人的な体験から、演奏者と視聴者の関係を変える楽器が作れないかと考えた。

2.演奏者とその周りの空間を取り込む

演奏者を取り巻く周辺の人々や空間を取り込むことで、その場の空間でしか鳴らせない音を作り出せないかと思い立った。その場の空間に依存する楽器を作ることで、生で演奏することや、そこにいることの意味をさらに深めることができるのではないかと考え、空間を取り込んで音を生み出す楽器を作ることにした。

3.LiDARを使った楽器

自動運転などに搭載されているLiDARは、空間に無数のレーザーを飛ばすことで空間の形状を把握することができるセンサーである。これを使って、空間の形状をリアルタイムに取り込みながら、音へと変換する仕組みを開発した。

3-1.空間の凹凸から音の波形を作り出すシステム

簡易的なプロトタイプを構成し、まずはLiDARから取れるデータを観察した。LiDARから取り込まれる空間のデータをみると、目で見ているよりも空間は複雑な形状を持っていることがわかった。また、レイヤーごとに取れるデータを線で繋げると、矩形波やノコギリ波のような音の波形のように見え、この起伏データを使ってそのまま音を出力することはできないか実験を行った。


max mspを用いて、得られた起伏データをサンプルデータとしてノコギリ波と合成することで、空間に向けた場所によって音が変化する仕組みができあがった。
https://github.com/zhikto/SPATIALIZER-STUDIO

3-2.ハードウェアの制作

実際のパフォーマンスへと導入できるように、電源のみで動くデバイスとして制作した。3Dプリンターの積層跡をあえて残すことで、空間が中へと取り込まれていくようなディティールに仕上げた。



4.SPATIALIZED MODULE

空間を取り込む楽器。この楽器を置いた空間から音を生み出す楽器である。背面のディスプレイには現在取得している波形が確認できるようになっており、これを見ながら音色を調整しながら演奏する。



荒れた空間だとノイジーで高周波な音が生まれ、何もない空間に持っていくと、シンプルな矩形波のような音が生まれてくる。その場の空間を音として取り込んで演奏することができる楽器である。また、空間にいる人の動きも波形に反映されるため、動き回ったり、体を大きく動かすことで、自分も音の一部になれる。空間に向ける側が演奏者なのか、空間で動く側が演奏者なのか、曖昧になるパフォーマンスを行った。


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